2004 年 6 巻 2 号 p. 65-70
北海道では,1993年にFusarium oxysporum f.sp. melonisレース1,2yによるメロンつる割病が発生し,その後急速に北海道内に蔓延したためメロン産地は大きな被害を受けた.そのため,この病原菌に対し抵抗性を有する台木品種の育成が必要となった.そこで,レース1,2yに対する抵抗性の遺伝様式を調査し,抵抗性台木品種育成の基礎的知見とするため,ネットメロン(Cucumis melo var. reticulatus Naud.)6品種とシロウリ(C. melo var. conomon Makino)1品種を親とする7 × 7の総当たり交雑によるダイアレル分析を行った.接種検定は浸根接種とし,播種後11日目の幼植物に,10 5個/ mlの濃度に調整した分生胞子を用いて行った.接種後10~11日目に罹病程度を5段階の発病指数(0:無病徴~4:枯死)で評価し,各系統ごとに発病度( Σ 発病指数 × 100 / (最大発病指数 × 供試個体数))を算出した.ネットメロンの「Charentais」は抵抗性の核外遺伝子を持つと推定されたため,「Charentais」を除く6品種についてサブダイアレル表を作成し,ダイアレル分析を行った.その結果,メロンつる割病菌レース1,2yに対する発病度は,狭義の遺伝率が0.81と高く,正逆交雑に差はなく,遺伝的変異の大部分は相加効果によるものであり,優性効果は小さいことが明らかになった.また,シロウリの「東京早生(丸葉)」は相加的遺伝子の他に劣性の抵抗性遺伝子を持つと推定された.それらの結果から,抵抗性品種の育成には相加的な効果を有する抵抗性遺伝子の集積に加え,シロウリの「東京早生(丸葉)」が持つ劣性の抵抗性遺伝子を導入することが効果的であると考えられた.