育種学雑誌
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大麦の出穂生理 : IV. 日長処理の後作用, 特に日長転換の影響について
平野 寿助菅 洋
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1963 年 13 巻 2 号 p. 107-111

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抄録

(1)秋播性大麦(ハシリハダカとspontaneum nigrum)の完全春化した種子を,温室室で播種し,一定期問,短日(8時間日長)及び長日(24時間日長)下で育て,その後その逆の条件下に移し先週処理の後作用及び目長転換の出穂に及ぼす影響を調査した。(2)短日→長日の場合前処理される短目の日数が増加するほど,播種後出穂迄日数は増加する。しかし長目に移してから出穂迄の日数は,ハシリハダカでは前処理.短日目数の増加と共に減少しH. spontaneum nigrumではほぼ一定で変らなかった。前者は春化後の短日遅延の少ない早生品種に層し後者は短目遅延の多い晩生品種1に属する。(3)長目→短目の場合,前処理される長目の日数が増加するほど播種後出穂迄目数及び短日に移してから出穂迄日数が減少する。長日前処理の増加に伴う出穂迄日数の減少の度合は,H. spontaneum nigrumでは著しく大きくハシリハダカではあまり大きくたい。しかしこの・両者共一定目数長目処理すると,後は短日下においても連続長目下と同じに出穂する様にたる。このことは,一定期間長日処理されると最終葉数が決定し,後は短目にしてもそれが変更されたいことを示すものであろう。その日数はおおむね20目であった。葉数の面からは,大体6~8日長日処理すれば,後は短日においても,連続長日下と同じ葉数で出穂Lた。この出穂迄日数と葉数とのずれ(20目と6~8日)は,前長目処理が短いと葉長持に止葉長が著しく長くだり,そのため展開迄日数が増加するためと思われる。

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