育種学雑誌
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13 巻, 2 号
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  • 後藤 寛治
    1963 年 13 巻 2 号 p. 69-75
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    実際育種の場合,常に選抜の対象となる草型の遺伝的た行動を明らかにする目的で,2組合せの大豆の雑種につき,初期世代で草型と2,3の実用形質の遺像力及び革型と子実収量の遺伝相関を推定した。
  • 早瀬 広司
    1963 年 13 巻 2 号 p. 76-82
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    C.pepoの「錦甘露」を母とした種間交配において花粉親の種によって交雑親和性の高い時期が異たる。前報のC.Maximaをかけた時は開花1日前の蕾授粉によりF1の育成が成功した。本報告においてC. pepo×C. moschataの異たる雌雄聞の交配によって不完全種子の胚が得られた。人工培養基(寒天1%,蔗糖2%のKnop1液)上でこれらの胚を発芽させ,F1植物の育成に成功したのは午前4時の早朝の開花授粉からのみであった。この時刻は異なる時刻の人工発芽試験並びに交配結果かち考えると,C. pepoの雌花の受精力が最も高く,C. moschataの花粉の発芽力の高い時である。F1植物の形態的特長は両親種の形質をあわ畦もっていた。F1の花粉母細胞の成熟分裂は大体正常である。第1中期の染色体の接合は1花粉母細胞当り0.05IV+19.50II+O.40Iであり,正常分子は86.8%,稔性花粉は79.0%であった。このF1植物は自殖又は両親種の戻交配によって完全種子を形成した。花粉の大きさはC. pepoに近く,これはC. pepoで戻交配した時の方がC. moschataで戻交配した時よりも交配成績が良い結果に一致した。
  • 片山 平
    1963 年 13 巻 2 号 p. 83-87
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    最近,連関群研究の新しい手段として,トリゾミックの利用が注目されてきたイネにおいても,これまでにトリゾミックに関して若干の報告がなされているが,いまだ12の凡ての型についての観察結果はない。ここでは同質三倍体,完全不対合個体,部分不対合個体を用い,それらの自然および人為交雑の次代におけるへテロプロイドの出現を細胞学的にしらべた。その結果,染色体不対合個体,特に部分不対合個体の次代に,最も容易に,かつ色々の型のトリゾミックが出現した。
  • 水島 宇三郎, 近藤 晃, 今野 昇
    1963 年 13 巻 2 号 p. 88-91
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    栽培稲(O.satival)の20品種,および品種間雑種のF1たらびにF2について,俘先に含まれるanthocyaninとそれらを支配する遺伝子CおよびAとの関係をぺ-バ-・クロマトグラフ法で分析した。秤先に含まれる主要た色素は,chrysantheminとkeracyaninであるが,その他に微量のcyaninおよびuinosinと推定されるスポットが検出された。CB,,C^<BP>およびC^B1とAおよびAdの組合わされた場合は,chrysanthemminとkeracyaninがほぼ等量に含まれている。AとAdとの相違は含まれる色素の濃度の相違をもたらす。CBrAおよびCB2Aの場合はkeracyaninの含量が著るしく少いことで,一応前記のものと質的な養があるものといえる。本来濃紫色を呈するべきCBAを赤繁色に変える抑制遺伝子(Ip)はkeracyaninの含量を著るしく減少させるものである。そのクロマトグラフはCBrAのそれと全く同様である。
  • 近藤 晃
    1963 年 13 巻 2 号 p. 92-98
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    23品種(日本産7,インド産5,中国産3,イゾドネシア産2,北米産2,南米産2,ベトナム産1およびハワイ産1)について,花青素着色に関する遺伝子の同定実験を行なった。2.花青素着色を支配する遺伝子については,長尾(1951)および高橋(1957)の説にしたがった。すたわち,花青素形成に欠くことのできない基礎遺伝子としてC(クロモーゲン)およびA(アクチペーター)が相互に補足的に働き,さらに植物体の部位特有の分布遺伝子が関与するとするものである。3.CおよびAの補足関係は,日本産品種相互間のみならず,外国品種と日本品種との間にも適用されることが明らかになった。ただし,例外の2品種(IN-1,SA-1)では,分析品種との雑種で,遺伝子の補足関係に矛盾がみられた。他の4品種では,交雑組合せの不備のために,遺伝子の同定はなされなかった。4.Pr(穎全面着色)遺伝子をもつ品種として,日本産2,インド産2があきらかにされた。5.俘先の色調を淡い方向へ変化させる抑制遺伝子(Ip)の存在が推定された。
  • 細田 友雄, 生井 兵治, 後藤 純一
    1963 年 13 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.ルタバガを合成する冒的で,花柱切除または接木利用によって20個体の雑種を得て,ユ9個体が完全に生育した(COK59-30~48)。2.墾議院カブ(C)とコールラピー(O)とを用い,花柱切除受粉によるC×0130花から6個体,C×O⊥Cなどの接木利用による178花から14個体の雑種が得られ,染色体数はすべて2n=19(ac)であった。なお,対照区の無操作C×Oおよび,Oを母本とした交雑からは雑種は得られ次かった。3.これらの個体はO.3%コルキシン処理によって増加し,2n=38(aacc)とした。4.自殖または自然受粉によって後代を得てきたが,生育良好た個体には2n=38のナブス型が多かった。根部肥大はよいとはいえないが,F1世代で肥大を示した3個体の後代には,すぐれたものが多くみられた。根型は,ルタバガ型,コールラピー型,中問型の3つの型に大別できた。5.F3世代のルタバガ型個体にルタバガの在来品種を交雑してSSR62を得た。この系統はいずれも根部肥大は良好である。肥大しないF3個体にルタバガを交雑したものは,根部肥大はあまりみられたい。
  • 平野 寿助, 菅 洋
    1963 年 13 巻 2 号 p. 107-111
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    (1)秋播性大麦(ハシリハダカとspontaneum nigrum)の完全春化した種子を,温室室で播種し,一定期問,短日(8時間日長)及び長日(24時間日長)下で育て,その後その逆の条件下に移し先週処理の後作用及び目長転換の出穂に及ぼす影響を調査した。(2)短日→長日の場合前処理される短目の日数が増加するほど,播種後出穂迄日数は増加する。しかし長目に移してから出穂迄の日数は,ハシリハダカでは前処理.短日目数の増加と共に減少しH. spontaneum nigrumではほぼ一定で変らなかった。前者は春化後の短日遅延の少ない早生品種に層し後者は短目遅延の多い晩生品種1に属する。(3)長目→短目の場合,前処理される長目の日数が増加するほど播種後出穂迄目数及び短日に移してから出穂迄日数が減少する。長日前処理の増加に伴う出穂迄日数の減少の度合は,H. spontaneum nigrumでは著しく大きくハシリハダカではあまり大きくたい。しかしこの・両者共一定目数長目処理すると,後は短日下においても連続長目下と同じに出穂する様にたる。このことは,一定期間長日処理されると最終葉数が決定し,後は短目にしてもそれが変更されたいことを示すものであろう。その日数はおおむね20目であった。葉数の面からは,大体6~8日長日処理すれば,後は短日においても,連続長日下と同じ葉数で出穂Lた。この出穂迄日数と葉数とのずれ(20目と6~8日)は,前長目処理が短いと葉長持に止葉長が著しく長くだり,そのため展開迄日数が増加するためと思われる。
  • 渡部 忠広
    1963 年 13 巻 2 号 p. 112-116
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    コンニャクの主要品種である在来種,備中種,支那種およびF1(支那×在来)について,植物体の外形,還元分裂,花粉稔性,花粉粒径等について観察した。1.植物体の形態は葉柄にある斑紋の形状,大きさ,数,色等,その他の語形質に多少のちがいがみられるが,全体として各品種は互によく似ている。2.還元分裂の移動期およびMIにおける花粉母細胞で支那種では約15%,在来種では約26%,備中種では約40%の細胞に2~12Iがみられた。3.備中種の開花期にみられる葯の裂開しないもの,花粉の圧出不良だとの現象もこの還元分裂異常にもとづく不稔花粉の増加に基因する思われる。4.支那種,在来種およびそれらのF1の外形と,その還元分裂における対合から推察して,両品種は同一ゲノム型を持つものと考えられる。
  • 細川 定治, 津田 周弥, 武田 竹雄
    1963 年 13 巻 2 号 p. 117-124
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.蒲組織汁液のpHを指示薬を用いて調査した。その結果正常型では葯の生育に伴ってPHはzig-zag型の推移を示すが,雄性不稔型では漸進的に下降するのみである。2.タベート組織中の澱粉は,正常型では 葯が生長するに従って消失していくが,不稔型では開花に至っても尚残存する。一方,還元糖は正常型で増カ買が著しいが,不稔型では蒲の生長が進んでも,顕著な増加を示さない。3.葯の中のアミノ酸組成は,その生長に伴って変化し正常型ではフロリンが出現するが,不稔型には存在したい。又,アラニンは不稔型に多く含まれているようである。
  • 石井 幸夫, 西村 米八
    1963 年 13 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1)Tulipa Gesneriana L.とT.Fosteriana Hoog.の種問雑種と言われているダーウィン・ハイブリッドの染色体数を調査した。2)供試材料13品種中12品種は3倍体,1品種は2倍体であった。3)ダーウィン・ハイブリッド系統所属品種の大部分が3倍体であることは種問雑種利用によるチューリップの育種上注目すべき事であり,この点について考察を行った。
  • 森田 潔
    1963 年 13 巻 2 号 p. 130-132
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    朝鮮に栽培されている作物名としての莞草(ワングル)に含まれる種は,C.IwasakiiM、と,C.glomeratusL.との2種にして,大多数の品種がC.IwasakiiM.に属し,極少数の品種がC.glomeratusに属することが明らかになった。
  • 光岡 祐彦
    1963 年 13 巻 2 号 p. 133-136
    発行日: 1963/06/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    コルヒチン処理によりカミツレ(Matricaria chamomilla L.,2n=18)の4倍体を得,真正4倍体のみを選抜した結果,処理次代(C2)に40.5%しか見られなかった真正4倍体がC4代で72.1%と向上し,その効果が認められた。2)4倍体カミツレは2倍体に比べ頭状花は巨大性を示したが分茎数,個体当りの頭状花数が少たいため,株当り乾燥花収最は2倍体と殆んど差はなかった。3)異数性4xと真正4xを比較して特に形態の上でこれを区別することは出来たかった。4)4xカミツレの成熟第2分裂における娘核への染色体数の配分から予想される次代の染色体数は,真正4xが実験値においては理論値よりやや高率に現われた。これより異数性の配偶子,接合子が受精,生育の過程で淘汰されることが予想された。
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