育種学雑誌
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てん菜〓斑病に対する固有低抗性と圃場抵抗性について
細川 定治斎藤 健一
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1965 年 15 巻 1 号 p. 13-17

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抄録
てん菜の褐斑病低抗性を遺伝子型によって直接支配される固有抵抗性,異った環境条件における生理的または形態的反応による環境反応低抗性および両者の相互作用による低抗性とに分割した。またてん菜褐班病菌の病原力を該病菌の病原力に関与する遺伝子型によって直接支配される固有病原力,寄主環境を異にした場合に発見される環境反応病原力および両者の相互作用による病原カとに分割した。これら3つの成分(低抗性および病原力)に対応するparameterにもとづいて,褐班病低抗性および病原力について考察Lた。得られた結果はつぎに示すとおりでおる。1.てん菜の褐斑病抵抗性に関しては,固有低抗性椅数(Dc)が極めて大きく,環境反応低抗性指数(Db)およびそれらの相互作用効果指数(Dbc)がいちじるしく小さかった。したがって,これらのparammeterの値から,てん菜の褐斑病低抗性はその生育環境条件によって変化するが,抵抗性の相対的関係はあまり顕著には変化しないものと推定された。2.てん菜褐斑病菌の病原力に関しては,固有痛原カ指数(Dc)は非常に大きく,環境反応病原力指数(Db)ならびにそれらの相互作用効果指数(Dbc)は共に比較的大きい。さらにDbcが負であることから,いゆわゆる病原性を異にする系統あるいはraceが本邦の該病勘こも存在することが本報での解析によっても証明された。3.本報で採用した統計学的解析方法と,通常の分散分析による結果とは本質的に同一である。しかしながら前者の方法が育種学的により具体的解釈が可能であり、Lかも簡便な方法と思考される。
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