抄録
感光性の高い品種「瑞豊」を用いて、まず10回の短日処理(10時間日長)の中央に1回あるいは2回の長日(24時間日長)を挿入してその影響を観察したところ、長日によって前半の短日処理の効果は完全に消去された。次に、途中に挿入する長日(1回)の時間を種々変更してみた結果、日長16時間以上の場合は効果を示すが、14時間以下では影響がなく、中問の15時間だと消去が不充分のため幼穂の発育は異常となり、しばしば生殖生長から栄養生長への逆転(苞の始原体が葉の始原体に変る)が見られた。更に、短日処理によって幼穂分化の誘起されたものを長日(18時間日長)の下に置いたところ、自然日長下のものより幼穂の発育、出穂が遅れた。以上により、短日と長日は水稲の幼穂分化ならびに発育に対し相反する効果のあることが明らかとなった。