育種学雑誌
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真性抵抗性と非病原性遺伝子をもつ[宿主-病原菌]系におけるレース頻度の変化に関するシミュレーション
清沢 茂久矢吹 駿一
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1976 年 26 巻 3 号 p. 247-255

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抄録
前報の式を用いて神奈川県でこの数年間に起ったAv-aAv-kレース,Av-aAv-k+レース(非病原性遺伝子Av-aと病原性遺伝子Av-k+をもつレース),Av-a+Av-kレースとAv-a+Av-k+レースの頻度のそれぞれ0.5,0,0.5,0から0,0.8,0.1,0.1への変化のシミュレーションを行なった。その結果は一非病原性遺伝子により平均1.32以上の増殖率の増加を仮定することがレース頻度の変化を説明するために必要であることを示した。同条件でPi-k遺伝子をもつ品種を除くとAv-aAv-k+とAv-a+Av-k+レースの頻度は減少する。これらのシミュレーションによりAv-aAv-k+とAv-a+Av-kレースはAv-aAv-kレースより生じ,この元のレースはPi-k品種の普及により,抵抗性品種が高率で存在するところでは非病原性レースは減少するという原則に基づいて,減少したものと考えられた。
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