抄録
イネのトビイロウンカ抵抗性と萎縮病ならびに縞葉枯病抵抗性の連鎖関係を明らかにするため,トビイロウンカ抵抗性(Mudgo由来)中間母本系統関東PL2,ツマグロヨコバイおよび萎縮病低抗性(白米粉由来)中間母本系統関東PL3,縞葉枯病抵抗性(Modan由来)品種ミネユタカおよび感受性比較品種日本晴の間で相互交配を行ない,各F3系統において上記3病虫害に対する抵抗性検定を実施した。まずトビイロウンカ抵抗性遺伝子Bph1と萎縮病抵抗性遺伝子は互いに独立であることがわかった。また関東PL2および関東PL3がいずれも縞葉枯病抵抗性を示すので,これら2系統の縞葉枯病抵抗性に関する遺伝子分析を行なった。その結果,関東PL2は3対の同義遺伝子に,関東PL3はミネユタカのSt2iと密接に連鎖している1対の遺伝子にそれぞれ支配されていることが明らかにされた。最後に,Bph1と関東PL2の3対の縞葉枯病抵抗性遺伝子も互いに独立であった。これらの結果から,トビイロウンカ,萎縮病および縞葉枯病に対する複合低抗性の集積は実現可能であると結論できた。一方,関東PL2の3対の縞葉枯病抵抗性遺伝子はいずれもSt2iとは別の遺伝子であると推定された。