育種学雑誌
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水稲の花器形質,到穂日数相互間の相関
石田 宏笹原 健夫
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1989 年 39 巻 3 号 p. 275-283

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抄録
日本型品種125(育成大粒種3系統を含む),インド型品種18(韓国の日・印交雑種5品種を含む),ジャワ型品種12および支那野生稲(Oryza sativa L. f. spontanea)1を用い,花器形質の相関およびそれらの到穂日数に対する相関・回帰を検討した.花器形質の間には有意の品種間差異が存在した(Table1).同じ出穂まで日数の品種を比較した場合,日本型品種はジャワ型およびインド型品種より約が短く,花粉数も少ない傾向がみられた(Fig.2).頴花当たつ花粉数は,頴花長,葯長,出穂までの日数および出穂前30日間の平均気温と高い正の相関を示した.しかし,柱頭長は出穂までの日数および出穂前30日間の平均気温と相関を示さなかった.柱頭長を除く花器形質が,出穂までの日数および出穂前30日間の平均気温と高い正の相関を示した一つの理由はこれまでの多くの研究(NISHIYAMA 1970:SATAKE and HAYASE 1970:鈴木,1985:佐竹ら,1985)で指摘されているように低温が花器形質を劣化させるように作用することであり,このことが本実験の場合早生品種において現われたと見られる.ただし,早生品種の花器形質が劣化したのは単に低温のためだけでなく,遺伝的要因と生長量の不足も関係していると見られる. 葯長は到穂日数と高い正の有意の相関を示したが,出穂前30日間の平均気温との相関は正で有意であったが前者の場合よつ低下した(Table2).これは,晩生品種である支那野生稲および長香稲等が出穂前30日間の平均気温が低かったにもかかわらず葯長が大きな値を示したためである.このことは,小麦の晩生品種が環境の悪化のため葯長が減少したという報告(K0MAKI and TSUNEWAKI 1981)と対照的である.なお,支那野生稲が大きな葯長を有する(花粉数も多い)ことは,VIRMANI and ATHWAL(1973)およびPARMAR et al.(1979)によっても報告されている.
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