日本薬理学雑誌
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特集 脳における細胞内Ca2+ストアの制御機構と脳疾患の新たな治療戦略
脳における新規細胞内カルシウム放出機構 一酸化窒素依存的カルシウム放出:制御機構と神経機能への関与
柿澤 昌山澤 德志子
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2016 年 147 巻 4 号 p. 194-199

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抄録
細胞内カルシウムシグナルは,細胞外からの流入と,細胞内ストアからの放出により上昇するが,特に脳の神経系においては,カルシウム放出を担うチャネルの制御機構や,カルシウム放出系の機能的役割に,いまだに不明な点が少なくない,近年,我々は脳の神経細胞において,新しいカルシウム放出機構,一酸化窒素依存的カルシウム放出(nitric-oxide induced calcium release:NICR)という現象を発見した.このNICRは一酸化窒素の作用により,カルシウム放出チャネルの一種,1型リアノジン受容体がS-ニトロシル化修飾を受けて活性化されることで起こる.NICRの生理的機能の解明については,まだ研究が端緒についたばかりであるが,これまでに小脳シナプス可塑性への関与が示されている.NICRは,イノシトール三リン酸(IP3)によるIP3受容体の活性化や,細胞内カルシウムの上昇によるリアノジン受容体の活性化などの既知のカルシウム放出機構とは大きく異なる特徴を示しており,独自の機能的役割を有すると推測される.今後,NICRの機能的役割が明らかになり,その破綻や異常亢進に起因する疾患が明らかになることで,NICRの制御を標的とした新たな脳疾患の治療戦略へと道が開けることが期待される.
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© 2016 公益社団法人 日本薬理学会
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