抄録
多くの遺伝的要因が,特定物質の代謝や酵素活性に影響を与える.それらの中で遺伝子突然変異や染色体組成の変化は植物の生活型に影響する主要な要因である.多くの物質の中で生長物質は,植物の生活型に直接影響するので特に興味深い.イネ育種においては,半矮性遺伝子の導入が大きな成功を修めている.矮性形質は,体内のジベレリン代謝や生成に関連があることが知られている.倍数性は植物の生長パターンを変える要因の一つであるが,ジベレリン含量との関連は研究されていない. 現在イネではd-1からd-57(木下1984)までの矮性遺伝子がリスト・アップされているが,相互関係の整理は必ずしも終っていない.これらの遺伝子が一時的に登録されているもののうち,異なった矮性遺伝子記号を有し,かつ今までジベレリンについて未調査の13系統および既調査の1系統について,体内ジベレリン含量を調査し,すでに調査した矮性系統と比較検討した.同時に遺伝子の同定されていない6系統についても調査した. 同質四倍体は初期生育が遅延し,出穂開花がおくれることなどが知られているので,同時に体内ジベレリン含量との関連をさぐるため親の二倍体品種と比較した. 酸性酢酸エチル分画のジベレリン含量を,薄層クロマトグラフィあるいはぺ一パークロマトグラフィで分離後,矮性イネ品種短銀坊主を用いる生物検定法(点滴法あるいは浸漬法)により算出し,生体100g当りのGA3相当量で表わした.