抄録
ユーカラ矮性とふ系71号は,それぞれエチレンイミンとγ線によって誘発された劣性の矮性突然変異であり,ともに強い耐倒伏性を有する.本研究では,これらに関与する遺伝子の同定を行った.また,これらの矮性の気温などの環境要因に対する反応を調べた.実験には,ユーカラ矮性の北海道品種しおかりを反復親とした同質遺伝子系統(矮性遺伝子名によりd-12系統と略称),しおかり,ならびに,ふ系71号とその原品種のフジミノリを用いた. それぞれの反復親もしくは原品種とのF1およびF2により,両者が単因子劣性の矮性遺伝子に支配されていることが確認された(Fig.1-(1),(2)).両矮性系統間のF2は,左右対称的な単項分布を示し,且つ,しおかりやフジミノリより明らかに短稈であった(Fig.1-(3),(4)).F1と交雑親の稈長の平均値は,d-12系統ふ系71号F1であった.F2のほとんどの個体は,d-12系統とF1の間に分布した.従って,これらの矮性遺伝子は,全く同一もしくは同一座の遺伝子とみなされた.