育種学雑誌
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40 巻, 3 号
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  • 服部 一三, 大関 泰裕, 西村 隆雄, 蓬原 雄三
    1990 年 40 巻 3 号 p. 295-301
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    葉縁素タンパク質複合体の分析のために,ショ糖濃度勾配遠心法による葉緑体分画法に変えて,2段階(Triton X-100→SDS)電気泳動法による簡易分析法を考案し,より簡便な方法でチラコイド膜を構成するタンパク質の分析を行った.植物体より採取した試料を石英砂とともに氷冷した乳鉢ですつつぶし,62.5mMトリス-塩酸緩衝液(pH6.8)を加え,冷却遠心機により可溶性タンパク質を取り除いた.遠江管の底に残った表面が緑色の残査は不溶性のタンパク質を含んでいると考えられた.また,この緑色の残査は葉緑体中のチラコイド膜に由来するものと思われた.そこで,4%Triton X-100(Polyoxyethyleneglycol p-t-octylphenyl ether)および18% glycerolを含むトリス-塩酸緩衝液でこの残査を処理したところ,この緩衝液は葉緑素タンパク質複合体を含む,水不溶性のチラコイド膜を効果的に可溶化した.この葉緑素タンパク質複合体を含む溶液を3%Triton X-100を含むポリアクリルアミトゲル電気泳動によって分離すると,葉緑素タンパク質複合体は葉緑素とタンパク質の結合は破壊されず,数本のバンドが密に重なり合いあたかも1本のグリーンバンドのように分離された.このバンドのポリペプチドパターンは,ゲルから水平にこのバンドを切り出し,50mMβ-mercaptoethanolおよび5%SDS(sodium dodecyl sulfate)を含むトリス-塩酸緩衝液に浸し70℃で30分間処理し,LAEMMLD(1970)の方法に従いSDS電気泳動法によつ分離した.このような方法を用いてペチュニア,キク,栽培稲60品種および野生稲11種の葉緑素タンパク質複合体のバンドパターンを比較したところ,ペチュニア,キク,イネでは3種それぞれに異なった泳動パターンを示した.イネにおいては,O.alta(CCDDgenome),O.latifolia(CCDD)およびO.brachyantha(FF)を除いて,非常によく似たバターンを示した.また,これらの異なった泳動パターンを示した3種においても,他のものとの比較で,1-2本のバンドに違いがみられたのであった.さらに,今回用いた方法と従来行われている方法との比較を行い,ポリペプチドパターンには両者の間で差はみられなかった.
  • 野田 和彦, 白石 由美子
    1990 年 40 巻 3 号 p. 303-311
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    オオムギとその野生種H. bulbosumの雑種では,染色体の消失が生じる.染色体の消失は,穂原基細胞で高頻度で生じるのに対し,根端分裂細胞ではほとんど生じない.このことは,染色体消失が細胞の生理的状態によって影響されることを示唆している.また,体細胞核分裂の観察により,消失する染色体は,細胞分裂中期に赤道板に集まれず,末期に遅滞染色体として核分裂より取り残されることが観察されており,細胞分裂前期における染色体と紡錘糸との相互作用の異常が染色体消失に関係していると推定される.今回,オオムギ,H. bulbosum,およびその雑種の根端細胞に,RNAの合成阻害するCordycepin(10-5M),蛋白合成を阻害するCyc1oheximide(10-5M),紡錘糸形成を阻害するColchicine(0.1%)を30分処理し,染色体消失とRNA合成,蛋白合成,紡錘糸形成の関係を明らかにしようとした.Colcbicineはどの植物の根端細胞にもC-metaphaseを増加させ,紡錘糸形成を阻害することを示したが,染色体消失の原因となる分裂末期の遅滞染色体を誘導しなかった.このことは,雑種に見られる染色体消失の機構は,紡錘糸形成の機構と関係しないことを示した.一方,CordycepinやCycloheximideはC-metaphaseを増加させると共に,雑種の根端細胞のみに遅滞染色体を誘起した.最もよく遅滞染色体が観察されたのは,CordycepinやCycloheximideの処理開始後90分であることから,細胞分裂のG2あるいは前期におけるRNAや蛋白合成の抑制が染色体消失と関係していると推定される.また,雑種においてのみ遅滞染色体が観察されたことは,雑種のG2あるいは前期におけるRNAや蛋白合成が,オオムギやH. bulbosumに比べて抑制されている可能性がある.次に活性のある動原体を染色すると報告されているCd分染法を改良し,雑種の穂原基細胞で見られる遅滞染色体をCb染色した.正常に分裂している染色体と遅滞染色体の動原体の両方に,dot状の染色が見られた.このことは,消失する染色体の動原体は正常であるか,Cd染色法の改良が,動原体の活性を反映しなくなった可能性がある.
  • 加藤 恒雄
    1990 年 40 巻 3 号 p. 313-320
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    イネの粒大に関する選抜効率についての情報を得るため,イネの粒長と粒幅の狭義の遺伝率を種々の交配組み合わせに由来する分離集団を用いて推定した. BG 1,Arborio J1(大粒型),たいほう(中間型),中生新千本,コシヒカリ(小粒型),以上5品種間で片面総当たり交配をおこない,得られた10組み合わせの各々についてF250個体を無作為抽出し,F2個体別F3系統を育成した.これらF2親値とF3系統平均値の相関係数を求め遺伝率の推定値とした.得られた遺伝卒の平均値は粒長で0.800,粒幅で0.555となった.粒長の遺伝率はほとんどの組み合わせにおいて粒幅の遺伝率よりもやや高くなった(Table1,Fig.1,Fig.2).また,粒長,粒幅ともに,遺伝率とF2の遺伝分散との間に正の相関が見られた(Fig.3). 上記10交配組み合わせ中の4組み合わせについてはF5世代まで無作為選抜集団を育成し,各世代間の親子相関係数を求め,世代の推移による遺伝率の変化を検討した.その結果,どの組み合わせでも遺伝率は世代によって大きく変化しなかった(Table2). 上記の無作為選抜実験と平行して,他の4交配組み合わせのF2において粒長に関する選抜をおこない,選抜反応と選抜差から遺伝率を求めた.その結果は親子相関の方法で得られた値と近似していた(Table3). 以上の結果から,イネの粒長および粒幅の狭義の遺伝率は種々の交配組み合わせに由来する分離初期世代集団において一般的に他の農業形質に比べて高いことが明らかになった.これら形質については,F2世代でも選抜が有効であると考えられる.
  • 劉 慶昌, 國分 禎二, 佐藤 宗治
    1990 年 40 巻 3 号 p. 321-327
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    ここ三十年来,サツマイモ(Ipomoea batatas (L.) LAM.)育種への近縁野生種の利用が注目されている.しかし,多くの近縁野生種はサツマイモと交雑できないためにサツマイモ育種へ利用されていない.この交雑不親和性を克服するために体細胞融合法を利用する場合,カルスからの植物体再生条件を確立しておくことは必要不可欠である.これまでサツマイモ及び近縁野生種の細胞組織培養においてカルスからの植物体再生は種及び品種によって大きな差異があることが明らかにされており,カルスからの植物体再生条件は必ずしも確立されていない.なお,近縁野生種の細胞組織培養においては,I.trifida Don.(2x)及びI.trichocarpa ELL.についてそれぞれ葉身カルスからの植物体再生が報告されているにすぎない.本研究では,サツマイモと交雑できない2倍体の近縁野生種I.triloba L.の茎,葉柄及び葉身外植片の培養による植物体再生条件を検討した.
  • 小川 紹文, 山元 剛, KHUSH Gurdev S., 苗 東花
    1990 年 40 巻 3 号 p. 329-338
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌レースの国際判別品種を設定するため,抵抗性遺伝子を一つずつもつ準同質遺伝子系統の育成が日本農林水産省とIRRI(国際稲研究所)との共同研究として行われた.その準同質遺伝子系統を育成する前提として,日本とIRRIの判別品種をフィリピン産および日本産白葉枯病菌レースを用いて分析する必要があった.そのため,抵抗性品種Satengの遺伝を,フィリピン産及び日本産白葉枯病菌レースを用いて分析した.イネ品種SatengはIRRIの研究者によって劣性の抵抗性遺伝子xa-9を有することが報告されている.日本,IRRI判別品種にはxa-9を持つ品種は含まれていない.現在同定されている抵抗性遺伝子を,準同質遺伝子系統に組み込むためには,xa-9を持つ系統も育成する必要があった.一方,日本産およびフィリピン産白葉枯病菌レースを用いて,この品種に予備的に接種検定をしたところ,その反応はXa-3を持つ中国45号,ジャワNo.14,Zenith及びCempo Selakとよく似ていた.すなわち,Satengはフィリピン産の4つのレースおよび日本産のIからIIIのレースに抵抗性を示すと共に,病斑の周囲が褐変化した.このことから,Satengの持つ抵抗性遺伝子が優性か劣性かを再検討すると共に中国45号およびジャワNo.14との抵抗性遺伝子の対立性検定を行うこととした. まず,日本産白葉枯病菌レースIII Aを供試して,Satengを分析した結果,単一の優性遺伝子によってその抵抗性が支酉己されていることを確認した.また,中国45号,Zen1thとSatengとのF2では感受性個体が出現せず,これらの品種は日本産白葉枯病菌レースIIIAに対して同一の抵抗性遺伝子を持つと結論された.フィリピン産白葉枯病菌レース1から4を供試して,Satengの抵抗性を分析した場合もこの品種が優性の抵抗性遺伝子を持つことが明らかになった.ただ,トヨニシキを片親にした場合とIR24を片親にした場合とではF2の感受性個体の病斑長の頻度分布が異なることから,Satengの量的抵抗性が他のXa-3を持っ中国45号,ジャワNo.14,Zenithなどに比較して弱いものと推定された.
  • 本田 秀夫, 平井 篤志
    1990 年 40 巻 3 号 p. 339-348
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    細胞融合は,交配不可能な異種植物間における遺伝子の導入を可能とし,育種上重要な手段を提供している.この際,体細胞雑種の同定,選抜は不可欠のステップであり,アイソザイムパターンの解析をはじめ,様々な方法が用いられている.しかし,それらの多くは,比較的多量のサンプルを必要とすること,特定の種の組み合わせに限られること,あるいは,取扱い上の困難さなどから必ずしも有効ではなかった.そこで,種特異的な塩基配列を持つrRNA遺伝子(rDNA)に渚目し,UCHIMIYAらの方法を基により簡便で能率的な方法を開発を試みた. Brassica, LycopersiconおよびNicotinaに属する植物を材料として用いた.まず,DELLAP0RTAの方法を改良してより微量の葉(100mg)から全DNAを抽出した.この抽出法は,細胞磨砕液からタンパク質や多糖類を酢酸カリウムにより除去し,さらにイソプロパノールによりDNAを特異的に沈澱させるものである.操作は簡単で,塩化セシウムによる超遠心のような複雑な操作は不要であつ,短時間で済み,収量も良く,得られたDNAは制限酵素で切断することが出来た.次に,抽出したDNAの1/50量(葉2mgからのDNAに相当)を適当な制限酵素で3時間処理し,0.7%アガロースゲルで電気泳動を行った.キャベツ,コマツナおよびその体細胞雑種の泳動パターンに示したように(Fig.1a),完全に切断された場合,EtBrで染色したDNAはほぼ均一なsmear bandsとなって現われた.DNAをナイロンメンブレントにトランスファーした後,クローン化されたイネのrDNAを非放射性のdigoxigeninでラベルしたものをプローブとして,バイブリダイゼーションを行った(Fig. 1b).その結果雑種植物は融合親特有のバンドを併せて有することにより,体細胞雑種としての同定が可能だった.トマト栽培種と野生種の組み合わせにおいても同様に同定できた(Fig. 2).
  • 赤澤 経也, 笹原 健夫
    1990 年 40 巻 3 号 p. 349-359
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    大豆は蛋白質および脂肪資源として重要な作物の一つであるため,収量性,含有成分,耐病性などに関して多くの作物学的・栽培学および育種学的研究がなされてきた.しかし,大豆を未熟状態で食用に供する枝豆についての研究はきわめて少ない.枝豆としての特性は,上述の諸形質とともにとくに香味,甘味,歯ざわりなど食味品質に関する特性が要求される.本研究は,枝豆品種を含む115品種(3品種に3種類の形状の異なる種子が形成されたので6種類を加えたため121品種・種類)の完熟種子を用いてそれらの吸水特性値を測定し,吸水特性値による品種分類を検討したものである. 吸水特性値としては,種皮および子葉の乾重当たり吸水率,種子体積当たり吸水率および砲水率を測定し,さらに完熟種子を52時間にわたって浸漬し,定時的に重量を測定し,各測定時間と対応する吸水種子重の回帰係数(以下,完熟種子の吸水速度と略称)を求めた.これら5つの吸水特性値を用いて判別分析を行った結果,枝豆品種群と普通大豆品種群がかなり判然と2群に分類される結果がえられた.5つの吸水特性値のうち,枝豆品種群は子葉の乾重当たり吸水率が大きく,普通大豆品種群は完熟種子の吸水速度が大きい特徴がみられた.これらの結果は,完熟種子の段階でも枝豆品種群と普通大豆品種群は,種子内において吸水に関与するとみられる含有物質(糖類,アミノ酸類など)の量および種子の組織構造が異なることを示唆している.
  • 浜地 勇次, 吉野 稔, 古庄 雅彦, 吉田 智彦
    1990 年 40 巻 3 号 p. 361-366
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    ビールオオムギの耐湿性を高める目的で,耐湿性の異なる品種間で交配を行い,雑種F4~F6世代での耐湿性の選抜結果から遺伝率を推定し,耐湿性の選抜をより的確に行うためにはどの形質を用いればよいかの検討を行った.過湿処理は節間伸長期に行い,過湿区の葉枯程度および稈長と子実重の対照区比(過湿区/対照区,以下同じ)を指標形質とした.葉枯程度を指標とした場合,供試した4組み合わせの遺伝率は0.12~O.48であった.選抜次代の上位と下位の系統群の葉枯程度の平均値を比較すると,いずれの組み合わせとも上位の系統群の方が少なく,そのうち3組み合わせで有意差が認められた.稈長および子実重の対照区比を指標とした場合,供試した3組み合わせの遺伝率は前者が0.47,-0.02,1.06および後者が0.32,-0.12,0.23であった.選抜次代の上位と下位の系統群の稗長および子実重の対照区比の平均値を比較すると,前者は2組み合わせで上位の系統群の方が大きく,ともに有意差が認められ,後者は2組み合わせで上位の系統群の方が大きく,そのうち1組み合わせで有意差が認められた. 以上の結果から,ビールオオムギにおける過湿区の葉枯程度は稈長および子実重の対照区比を指標とした場合よりも安定した選抜効果や遺伝率の推定値が得られるので,雑種初期世代における耐湿性を選抜するための有効な指標形質である.
  • 鈴木 正一, 藤野 廣春, 山崎 紀仁, 辰尾 良秋, 吉崎 正雄
    1990 年 40 巻 3 号 p. 367-370
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    オオマツヨイグサの葉に含まれるOenothein Bは,抗腫瘍活性を有することが知られている.高Oenothein B系統育成の一環として,茎頂培養による大量増殖法について検討した.2年生個体の側芽を滅菌(70%工クノール1分間,1%次亜塩素酸ナトリウム10分間,滅菌水で3回洗浄)し,長さ約0.5mmの茎頂を摘出置床した.MS培地(MURASHIGE and SK00G 1962)に0,O.02,0.2,2.0,4.0mg/lのナフタレン酢酸(NAA)と,6-ベンジルアミノプリン(BA)を添加した25種類の培地を用い,27±1℃明条件下(2500lux)で培養した. 培養20日目には,ほとんどの区においてシュートが形成されたが,NAA濃度の高い区ではカルス化するものも見られた(Table1).新しく形成されたシュートの数と発根に対するNAAとBAの濃度の影響が顕著に認められた.カルス化したNAA高濃度区においても,培養40日目までにはカルス中央部よりシュートが形成された(Fig.1).新しく形成されたシュートの数および葉の形態から,シュートの増殖には0.2mg/lのNAAと。.2mg/lのBAの組み合わせ,あるいは0.2mg/lのNAAと2.0mg/lのBAの組み合わせが適当と考えられる.発根については,シュート基部のカルス化の少ない2.0mg/lNAAのみの区が適当と考えられる. 培養の初期にはゲル化剤(8,0g/l寒天,2.0g/lgelrite,paperbridge)による発根速度,根毛の発生程度などに多少の差が見られるが,活着率に差は認められなかった(Fig.2,3Table2).
  • 小松田 隆夫
    1990 年 40 巻 3 号 p. 371-375
    発行日: 1990/09/01
    公開日: 2008/04/18
    ジャーナル フリー
    ショ糖濃度が30g/lの不定胚形成培地を用いたスクリー二ング(K0MATSUDA and Ko,1990)において不定胚形成を全く示さなかった21品種(グループ1)および培養未熟胚あたり2.0個以上の不定胚形成数を示した15品種(グループ2)について,今回はショ糖濃度が5g/lの改変培地(KAGEYAMA et al. 1990)を用いて不定胚形成能力を評価した. 一回の試験に付き未熟胚の子葉を10対培養し,グループ1の品種に関しては試験を2-6回(調和平均で3.8回),グループ2に関しては4-16回(調和平均で7.2回)繰り返した.品種の不定胚形成能力は以下の三つのパラメーターで評価した.すなわち,培養子葉対の数をx(=10),胚発生した子葉対の数をy,総発生不定胚数をzとして,パラメーターA(不定胚発生率)=y/x,パラメーターB(平均不定胚形成数)=z/y,パラメーターC(不定胚形成効率)=Z/X,とした. 試験の結果グループ1のすべての品種が不定胚形成を示し,改変培地の有効性が示された.特に品種Viking(B),Hi11,くるみ豆,フクシロメ等で不定胚形成能が高かった.しかし,品種毛振や生娘茨城1号では不定胚発生能がきわめて低かった.三つのパラメーターに関して各品種の平均値の分散分析を行った結果,品種間の不定胚形成能の違いに有意性のあることが明らかになった.一方,グループ2の各品種でも同様に高い不定胚形成が示され,特に品種トヨスズ,半野生ダイズ系統の秣食豆公502,Glycine gracilis T34で不定胚形成効率が高かった.ただし例外的に,茶秣食豆では低ショ糖濃度培地で培養組織が旺盛にカルス化(脱分化)したために,不定胚形成効率が減少した.
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