育種学雑誌
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タッタンソバ(Fagopyrum tataricum Gaertn)のルチン含量に関する変異
北林 広巳氏原 暉男廣瀬 玉紀南 峰夫
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1995 年 45 巻 2 号 p. 189-194

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抄録
ルチンは,フラボノイドの一種で,毛細血管の脆弱性を抑制し,血圧を下げるなどの薬理作用を有するといわれている.タッタンソバ(Fagopyrum tataricum Gaertn)は植物体に多くのルチンを含み,また食用としての利用が可能であることから,有用なルチン資源であると認識されている.しかし,タッタンソバの種子および葉のルチン含量に関する遺伝変異についての報告は今までにほとんどない.そこで,系統間の変異を明かにするため,主要な栽培国から導入したタッタンソバ16品種・系統(Table1)を1992.1993年に各2反復の乱塊法で栽培し,種子および葉のルチンをHPLCにより定量した.また主要形質のうち,第1花開花まで日数,1,000粒重および1株稔実粒重についても調査を行った.その結果,種子のルチン含量は1,110mg/1OO g DWから1,950mg/100g DWの,葉のルチン含量は2,460mg/100g DWから3,610mg/100g DWまでの変異を示した(Table2).ルチン含量に関する年次間相関を検討したところ,種子では相関係数は0.86でO-1%水準で有意な相関が認められたが,葉では有意な相関はみられなかった(Fig.1).ルチン含量および主要形質について分散分析をおこなったところ,種子および葉のルチン含量について有意な系統間差が認められた(Table3).また,分散分析から推定したルチン含量の遺伝率は種子と葉でそれぞれ0.76,O-1Oであった(Table3)
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