育種学雑誌
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電気融合によるカンキツ属とアクランディア属またはセベリニア属との体細胞雑種の作出とミトコンドリアゲノムにおける再編成
本村 敏明日高 哲志森口 卓哉秋濱 友也大村 三男
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1995 年 45 巻 3 号 p. 309-314

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抄録
カンキツ品種`セミノールCitrus reticulata Blanco×C.paradisi Macf.).の胚カルス起源のプロトプラストとアクランディア属のインディアンァタランティァ(Atalantia monophylla.)およびセベリニア属のチャイニーズボックスオレンジ(Severiniabuxifolia(Poir.)Tenore)の葉肉から得たプロトプラストの電気融合を行い,属間雑種の作出を試みた.カンキツとアクランディア属,カンキツとセベリニア属の間の融合でそれぞれ16個体と46個体の植物体を得た(Fig1). 形成された融合植物体の一部,並びに融合親として用いたカルスおよび葉からDNAを抽出し,イネのrDNAをプローブとしてゲノミックサザンハイブリダイゼーションを行ったところ,得られた個体は体細胞雑種であることが明らかになった(Figs.2,4). さらに,融合植物体の細胞質DNAの解析を行った.クロロプラスト遺伝子pTB7,pTB19そしてpTB28をプローブとすると,カンキツとアクランディア属の融合個体ではアクランディア属に特異的なバンドが,セベリニア属との融合ではセベリニア属に特異的なバンドが認められ,体細胞雑種のクロロプラストには葉肉由来のプロトプラストが移行していることが明らかとなった.一方,ミトコンドリアDNAのプローブとしてα批,舳26そしてω尤Iを用いて解析したところ,カンキツとアクランディア属の融合個体は,α妙Aをプローブとした場合,カンキツに特異的なバンドの一部欠損とアクランディア属のバンドの移行が認められた(Fig.3).また,カンキツとセベリニア属の融合個体についても,舳26をプローブとした場合,カンキツ由来のバンドと一部セベリニア属のバンドの移行が認められた(Fig.5).
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