抄録
を輪郭の楕円フーリエ記述子に基づく主成分スコアで定量的に評価した.供試品種・系統の完全展開複葉の中央小葉をビデオ撮影した後,画像処理で小葉の2値画像を得た.さらに,2値画像から小葉の輪郭を抽出し,チェインコード化した.ダイズ葉形は調和数20までの楕円フーリエ記述子で十分記述できた.そこで,チェインコード化した小葉輪郭について調和数20までの77の楕円フーリエ係数を求めた.それらの楕円フーリエ係数は,輪郭のサイズ,回転,移動,チェインコード開始点について不変となるよう,第1調和楕円に基づく標準化を行った.標準化した楕円フーリエ係数に関する主成分分析の結果,第5主成分までの累積寄与率は96%であった.さらに,各主成分スコアが変動した場合の楕円フーリエ係数を逆推定し,推定値で輪郭を再描画した結果,各主成分が葉形に寄与する効果が明らかになった.これらの結果から,標準化楕円フーリエ係数喬己迷子に基づく主成分スコアがダイズ葉形を定量的に評価するための強力な方法であることが分かった.供試した品種・系統間の分散分析や同時比較から第1主成分,第2主成分,第5主成分における遺伝子型間の差が大きかった.また,これまでいわれている単純な主働遺伝子以外の微働遺伝子がサイズ要因を除去した葉形そのものに関与していることが示唆された.