育種学雑誌
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プラント・オパールの形状からみた中国・草鞋全山遺跡(6000年前~現代)に栽培されたイネの品種群およびその歴史的変遷
王 才林宇田津 徹朗湯 陵華鄒 江石鄭 雲飛佐々木 章柳沢 一男藤原 宏志
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1998 年 48 巻 4 号 p. 387-394

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抄録

1992年から,プラント・オパール分析による中国長江中・下流域における稲作の起源およびその伝播に関する日中共同研究が開始され,太湖流域に所在する草鞋全山遺跡における古代水田趾の発掘調査が行われた。調査の結果,遺跡の堆積土層が10層確認され,5層からlO層までは馬家浜中期(B.P.5900~6200年)の文化層であることが判った。また,プラント・オパールの分析により,春秋,綾沢,馬家浜時期の水田土層が確認された。さらに,馬家浜中期の土層から40面余りの水田遺構が検出された。本論文では,検出された水田遺構の一部および各土層から採取した土壌試料について行ったプラント・オパールの定量分析および形状分析の結果を報告し,当該遺跡における古代イネの品種群およびその歴史的変遷について検討を加えたものである。プラント・オパールの定量分析より,各遺構および各土層からイネのプラント・オパールが多量に検出された。この結果から,草革全山遺跡周辺では,B.P.6000年の馬家浜中期からイネが継続して栽培されてきたと推測される。

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