抄録
要旨 本研究では、立体作品を触りながら鑑賞する自らの行為を、鑑賞活動後に内省することによって、学習者にどのような変容が生じているのかを明らかにすることを目的としている。そのため本論では、筆者らが開発を進めている鑑賞学習支援ツール《ART Log》を活用した予備調査を実施し、その効果と課題を検証する。《ART Log》の活用によって、触って鑑賞する際に生じる立体作品の傾き等の動きを動画として記録できるため、学習者は鑑賞活動後に自らの行為を内省することが可能となる。調査では、作品を持ち上げて触りながら鑑賞する“作品鑑賞”と、“作品鑑賞”後に《ART Log》で記録した動画を視聴する“リフレクション動画視聴”によって生じる、学習者の気づきの変容について考察した。その結果、“作品鑑賞”では、「感じたこと」を想起させる傾向を強めること、自らの鑑賞活動を内省するための“リフレクション動画視聴” では、「考えたこと」を想起させる傾向を強めること等が確認できた。「感じたこと」と「考えたこと」を往還させていく学びによって、ものの見方や感じ方が深まり、新たな価値の創造へとつながっていく可能性が示唆された。