抄録
要旨 小学校学習指導要領図画工作では、「『A 表現』及び『B 鑑賞』の指導については相互の関連を図るようにすること」と示されている。それを受けて、小学校教育現場及び教員養成機関における鑑賞活動の現状を確認したところ、必要性を認識しつつも鑑賞指導には消極的な層の存在が確認された。そのことから、教員養成段階にある学生の鑑賞教育の充実に向けた研究活動を推進することは有意義と考えられる。本研究では、小学校教員養成の図画工作における表現と鑑賞を一体化する授業プログラムとして、制作課題の前後に行う鑑賞に加え、制作中の鑑賞に「中間チェックシート」を作成・導入することによる3段階の鑑賞活動の効果を検討した。その結果、鑑賞活動の充実が学生の多角的な見方や意欲的な制作姿勢を引き出したことが確認され、鑑賞との相関により表現内容を深化させていくことがわかった。