日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
技術・工夫
維持透析患者の感染症を重症化させないために
PMMA-HDF,PMMA-HDについて
渋谷 陽平柴原 宏窪田 彬鈴木 俊郎柴原 奈美高橋 進
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2019 年 10 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

Polymethylmethacrylate(PMMA)膜を用いた持続血液濾過透析は,サイトカイン吸着によって,重症敗血症による高サイトカイン血症を制御する有用性が報告されている。PMMA膜は元来,透析療法において一般的に使用される膜であり,感染症を合併した9例の維持透析患者にPMMA膜を使用したhemodiafiltration(PMMA-HDF)を施行した。PMMA-HDFはPMMA膜(フィルトライザーBG-1.3~1.6PQ)を使用し,施行時間4時間,血液流量150~200mL/min,補充液サブラッドBSG(1.5~3.0L/h),透析液流量500mL/minで施行した。全例,感染症は改善し,感染症とは無関係の死亡例を除き8例が通常の維持透析に回復した。治療前後のインターロイキン6の平均値はおのおの949.4±807.8pg/mL,226.0±277.2pg/mL,白血球数はおのおの15,500±7,464/μL,13,255±4,078/μLと低下する傾向にあった。死亡例と社会的入院を除いた平均入院期間は12.6±4.8日であった。維持透析患者の感染症に対し,感染源のコントロールに加え,早期治療としてPMMA-HDFを施行することは,高サイトカイン血症を改善し,感染症の重症化を抑制する可能性がある。

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© 2019, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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