日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
10 巻, 1 号
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Review
  • 第29回日本急性血液浄化学会学術集会 Pros&Cons 1より
    片山 浩, 松田 兼一, 重松 隆
    2019 年10 巻1 号 p. 3-4
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    急性血液浄化療法の主導権を集中治療医もしくは腎臓内科医,いずれがとるべきかについてPros&Cons が行われた。腎臓内科医の優れている点として,治療法自体と用いる手段の原理に対する理解の深さ,クリアランスやKt/Vurea の意味や測定方法を熟知していることがあげられた。一方集中治療医の優れている点として,原疾患は敗血症が最も多く次いで術後であった。また,死亡に大きな影響を与える因子としてはクレアチニン値よりもSOFAやAPACHEⅡのような全身状態そのものが大きかった。そのため,腎臓そのものよりも呼吸,循環および栄養・代謝などの全身管理ができることがあげられた。Pros&Consとしての優劣はつかなかったが,パーフェクトな医師に到達するのはかなり困難であるので集中治療医,腎臓内科医,主治医に加えて臨床工学技士,看護師,理学療法士,薬剤師などで形成されるチームを作って治療を行うことが必要であるとの意見に集約された。

原著
  • 森山 和広, 加藤 由布, 長谷川 大祐, 栗本 恭好, 川治 崇泰, 下村 泰代, 西田 修
    2019 年10 巻1 号 p. 5-9
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    サイトカインの多くは分子量が2万程度であり,濾過による効率的な除去は困難である。本検討では,サイトカイン吸着特性を有するPMMA膜hemofilter,AN69ST膜hemofilterを用いて,in vitro閉鎖循環系にて血液濾過を施行し,TNF-α,IL-6,IL-8の濃度推移とクリアランス(CL)を算出した。その結果,両hemofilterとも,TNF-α,IL-6,IL-8のCLは濾過液流量を超え,理論上の濾過原理の限界CLを上回った。AN69ST膜hemofilterでは,等電点の高い順(IL-8,TNF-α,IL-6順)に,78±3,38±6,23±7(mL/分)のCL を示した。PMMA膜hemofilterでは,IL-6が31±76(mL/分)と最大のCLを示した。AN69ST膜による吸着機序はイオン結合であると推察された。

  • 上原 駿介, 鹿又 一洋, 渡部 恭兵, 阿部 聖也, 村杉 浩, 本多 仁, 大濵 和也, 友利 浩司, 岡田 浩一
    2019 年10 巻1 号 p. 10-15
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    非カフ型カテーテル(以下,カテーテル)使用時,血管径が細い患者では血管壁へのへばりつきや血流動態の変化による再循環が懸念される。本研究では,血管径が再循環に与える影響を検討するため模擬循環回路を使用し,先端形状の異なるカテーテルを用いて再循環率の測定を行った。カテーテルの先端形状は2種類のエンドホール型,立体流線型を使用した。結果,エンドホール型では順接続時において再循環は認めなかったが,逆接続時において血管径が細くなるにつれ再循環率の上昇が認められた。立体流線型では順接続時において血管径によらず軽度の再循環を認めた。逆接続時において再循環率は上昇したが,血管径によらず値はほぼ一定であった。この結果から血管径の細い患者において,カテーテルの先端形状や接続法によって再循環率が上昇する可能性があると考えられた。

第29回日本急性血液浄化学会学術集会Best Presentation Award(BPA)受賞論文
原著
  • ─ラット全血を用いた検討─
    十時 崇彰, 伊藤 隆史, 八島 望, 垣花 泰之
    2019 年10 巻1 号 p. 16-20
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    敗血症診療において,急性血液浄化療法を施行中に遭遇する問題の一つに回路内凝血がある。回路内凝血のメカニズムとして,回路内での凝固活性化だけでなく,白血球細胞外トラップの関与が示唆されている。回路内凝血を予防する目的で抗凝固薬が使用されるが,抗凝固薬が白血球細胞外トラップ放出に及ぼす影響については十分に解明されていない。今回,ラットの全血をクエン酸もしくは未分画ヘパリン(unfractionated heparin:UFH)で抗凝固したうえで,エンドトキシンで刺激した白血球細胞外トラップ放出の様子を,蛍光顕微鏡を用いて観察した。UFHで抗凝固を行った血液は,クエン酸で抗凝固を行った血液と比べて白血球細胞外トラップを放出した細胞数が多かった。抗凝固薬としてUFHを投与することは,過剰な凝固活性化を防ぐ意義がある一方で,細胞外トラップ放出を促進させる可能性があるため,注意が必要と考えられた。

原著
  • 山下 和也, 村田 知佐恵, 阪本 雄一郎, 櫻井 瑛一, 本村 陽一
    2019 年10 巻1 号 p. 21-26
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,敗血症患者への治療選択決定支援アルゴリズムの構築を視野に,死亡率および在院日数に影響を及ぼす診療行為の探索を目的とした。【方法】敗血症患者458名のDPCデータを用いて,重みを付けたPLSA(Probabilistic Latent Semantic Analysis:確率的潜在意味解析)を行った。さらに,敗血症の直接的な治療法の一つである血液浄化に関する診療行為に注目し,クラスタの特徴を分析した。【結果・結論】「死亡の有無」および「在院日数」に20倍の重みを付けたPLSAを実施した結果,九つの診療クラスタが抽出され,死亡率や在院日数との関連性を特徴的に示す診療行為のクラスタ分類が可能であることが確認できた。とくに血液浄化に関する診療行為は,すべて死亡率が高い診療クラスタの一つに所属しており,同一患者のクラスタ遷移パターンも踏まえると,血液浄化が敗血症患者の状態変化に強く影響する治療の一つであることが示唆された。さらに,血液浄化に重みを付けたPLSAの実施により,血液浄化の種類によってクラスタが分離し,患者の状態によってどの血液浄化が適切か判断できる可能性が示された。

  • ─緊急時ブラッドアクセスカテーテルとして使用後の検討─
    柴原 奈美, 柴原 宏, 渋谷 陽平, 窪田 彬, 鈴木 俊郎, 高橋 進
    2019 年10 巻1 号 p. 27-32
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    非カフ型カテーテル(NCC)は緊急に血液浄化療法を施行する際のバスキュラーアクセスとして頻用されている。この際,われわれはNCCではなく,カフ型カテーテル(TCC)をいわゆる緊急時ブラッドアクセス留置用カテーテル(緊急時BA)として積極的に使用し,救命後のADL低下予防,入院期間の短縮,カテーテル関連合併症の抑制に貢献できる有用性について報告してきた。今回,緊急時BAとしてTCC使用後の合併症としてカテーテル挿入血管における血栓形成や静脈狭窄の発生について検討した。対象となったのは緊急に血液浄化療法を施行し,治療期間内に緊急時BAとしてTCCを使用した38例。観察されたTCC挿入血管は右内頸静脈37例,左内頸静脈1例であった。挿入血管に血管内病変を認めたのは38例中2例(5%)のみであった。緊急時BAとしてTCC使用後における血管内病変の発生は少なく,血液浄化療法による救命後の合併症予防という観点からもTCCは有用であると考えられた。

症例報告
  • 宇治 祥隆, 千代島 雅志, 古賀 伸彦, 吉岡 豊一, 江口 豊
    2019 年10 巻1 号 p. 33-35
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    急性肝不全は広範囲に及ぶ肝細胞壊死と肝再生不全により高度の肝機能障害を認める可逆的な病態であり,連鎖的に病態が悪化するので極めて予後不良である。急性肝不全の治療である,人工肝補助療法は肝再生や肝移植までのbridging therapyとして重要な役割を担っており,血漿交換と血液濾過透析を組み合わせた手法が本邦で広く行われている。当院の人工肝補助療法はPDF(plasma filtration with dialysis)を行っているが,PDFとは血漿交換を行いながら中空糸の外側に液を灌流させる血液浄化療法である。当院は循環動態が不安定な症例が多く,24時間連続でPDFを行うcPDF(continuous PDF)を実施することが多い。今回は,術中に門脈血栓閉塞があり,その後,術後肝不全に陥り,血栓除去療法で肝血流を保持し,cPDFで肝不全悪化を予防できた症例を報告する。

  • 木村 竜希, 江間 信吾, 水口 智明, 森田 耕司, 佐藤 太一, 加藤 明彦
    2019 年10 巻1 号 p. 36-39
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    32歳女性。バセドウ病妊婦として,当院産婦人科に紹介された。入院時の甲状腺刺激ホルモンレセプター抗体(TRAb)が394.0 IU/Lと異常高値であり,甲状腺全摘術を施行したが依然高値であった。術後から胎児頻脈が出現し持続したことや,出産時の非免疫性胎児水腫や分娩時の気道狭窄胎児のリスクが考えられたため,TRAb除去および胎児救命の目的で二重膜濾過血漿交換療法(DFPP)を施行した。DFPPによってTRAbは約52〜60%低下し,43.9 IU/Lまで低下した。妊娠34週6日に帝王切開で男児を出生し,現在まで順調に経過している。DFPPはTRAb高値のバセドウ病を合併した妊婦の治療において,有効な治療法である可能性がある。

  • 神宮 宏臣, 金子 千里, 關谷 秋奈, 齋藤 慎, 大山 裕亮, 田中 俊之, 塩野 昭彦, 町田 昌巳
    2019 年10 巻1 号 p. 40-42
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    【症例】31歳,女性。自殺企図にてCarbamazepine(CBZ)200mgを20錠(4,000mg)内服。来院時,GCS:E2 V2 M2,血清CBZ濃度が27.3μg/mLが高値であり,急性CBZ中毒診断で入院となった。翌日の血清CBZ濃度が36.4μg/mLとさらに上昇し,意識障害の遷延もあり,前希釈On-line HDFを導入した。前希釈On-line HDF施行後,血清CBZ濃度は19.1μg/mLに低下,意識障害の改善も認められた。前希釈On-line HDFは,総透析液流量を増やすことで遊離型血清CBZの除去を維持しつつ,大量濾過による大分子量物質の除去により,蛋白結合型CBZの除去も増加させることができると推察され,拡散と濾過によるCBZ除去の相加・相乗効果が期待できると考えられた。急性CBZ中毒に対して,血清CBZの除去および早期の症状改善に,前希釈On-line HDFは寄与していると考えられた。

短報
  • 鷹野 弘典, 横山 朋大, 佐伯 早耶香, 石原 宗太朗, 益田 一輝, 鶴田 友加里, 北 博志, 加藤 博史
    2019 年10 巻1 号 p. 43-45
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    Fluid balance abnormality was observed during plasmapheresis performed using a blood purification device (ACH-Σ; Asahi Kasei Medical Co. Ltd., Tokyo, Japan). Based on this case finding, it was thought that some problems may have occurred in the fluid control system. We verified the operation of the fluid system with obstruction in its circuit. When the circuit for fluid replacement was obstructed, an alarm indicated “abnormalities in filling of fluid replacement”. The alarm could not be reset unless the cause was removed. When the filtration circuit directly behind the plasma separator was obstructed, an alarm indicated “blood leak detection 1”. When the circuit directly before the filter pump was obstructed, an alarm indicated “abnormalities in plasma balance”. For the first and second alerts, it was possible to reset the alarm even if the cause of the alarm was not removed. For the third alert, however, the alarm could not be reset unless the cause of the alarm was removed. When the filtration circuit directly behind the filter pump was obstructed, the status of fluid replacement alone was observed. Thus, excessive body fluid due to excessive fluid replacement may trigger side effects (e.g., elevated blood pressure, cardiac failure, cyanosis, dyspnea, and pulmonary edema).

技術・工夫
  • 集中治療室で血液浄化療法を行う患者の早期回復を目指して
    松本 亜矢子
    2019 年10 巻1 号 p. 46-50
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    集中治療領域で欠かせない治療の一つとして急性血液浄化療法が多くの患者に施行されているが,患者は長時間にわたって活動範囲の制限を強いられることになり,患者のストレスは増大する。そのなかで,看護師には患者の早期回復につなげる看護が求められるため,当院集中治療部では患者の苦痛緩和と日常性の回復の二つを柱とした看護を提供し患者の早期回復を目指している。急性血液浄化療法を施行する患者への看護の実際から,看護に求められる視点は身体的側面を基盤として心理・社会的な側面,機器管理の三つの視点から「疾患を抱え,治療を受けるその人」を捉えること,患者に寄り添い些細なサインからその背景にある意味や意図を探求しアセスメントに活かし早期回復に向けたケアを実践することであると考えられた。

  • PMMA-HDF,PMMA-HDについて
    渋谷 陽平, 柴原 宏, 窪田 彬, 鈴木 俊郎, 柴原 奈美, 高橋 進
    2019 年10 巻1 号 p. 51-55
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    Polymethylmethacrylate(PMMA)膜を用いた持続血液濾過透析は,サイトカイン吸着によって,重症敗血症による高サイトカイン血症を制御する有用性が報告されている。PMMA膜は元来,透析療法において一般的に使用される膜であり,感染症を合併した9例の維持透析患者にPMMA膜を使用したhemodiafiltration(PMMA-HDF)を施行した。PMMA-HDFはPMMA膜(フィルトライザーBG-1.3~1.6PQ)を使用し,施行時間4時間,血液流量150~200mL/min,補充液サブラッドBSG(1.5~3.0L/h),透析液流量500mL/minで施行した。全例,感染症は改善し,感染症とは無関係の死亡例を除き8例が通常の維持透析に回復した。治療前後のインターロイキン6の平均値はおのおの949.4±807.8pg/mL,226.0±277.2pg/mL,白血球数はおのおの15,500±7,464/μL,13,255±4,078/μLと低下する傾向にあった。死亡例と社会的入院を除いた平均入院期間は12.6±4.8日であった。維持透析患者の感染症に対し,感染源のコントロールに加え,早期治療としてPMMA-HDFを施行することは,高サイトカイン血症を改善し,感染症の重症化を抑制する可能性がある。

  • 中村 公彦
    2019 年10 巻1 号 p. 56-60
    発行日: 2019/06/01
    公開日: 2022/01/08
    ジャーナル フリー

    持続的血液浄化法(CBP)は,主に急性腎障害(AKI)症例に対して,体内の恒常性の維持を目的に施行される。循環動態の不安定な症例に長時間施行するため,CBPに用いられる持続緩徐式血液濾過器には,①病態に応じた除去性能を発揮すること,②長時間のCBP施行が可能なこと,③高い生体適合性を有すること,が要求される。当社が開発した持続緩徐式血液濾過器の濾過膜は複数の材質のものがあり,それぞれ異なった特徴がある。セルローストリアセテート膜の持続緩徐式血液濾過器は,中空糸膜荷電や膜内表面の凹凸が小さいため膜表面への蛋白付着が少なく,血小板数への刺激が少ないために治療継続性が高い報告がある。一方,ポリエーテルスルホン膜の持続緩徐式血液濾過器は,透水性が高く,比較的大きな物質の透過に優れる膜設計にしていることから,血液浄化量をコントロールしながら,病態に応じた病因物質の除去に用いられている。

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