Thomas Grahamが拡散の原理を1854年に発見し,Dow Chemical社が1968年に中空糸型血液浄化器の量産を始めてから,血液浄化技術は大きな進化を遂げた。その中でも血液浄化膜の進歩には特筆すべきものがあり,特に高分子の合成と中空糸膜の製膜技術などの工業化学を巻き込んだ進歩は一大医療機器産業へと発展した。さらに,顕微鏡観察技術などの評価法が確立され,並行して理論的・定量的アプローチによる膜透過理論が進化した。そうした膜科学と実用化技術は,米国,ドイツおよび日本が先行するが,最近は中国,インドおよび中東諸国の追い上げがすさまじい。血液浄化膜のイノベーションは中空糸膜とポリスルホン膜の登場であった。そこでこの特別寄稿では,血液浄化膜の誕生とその後の進化についてレビューする。血液浄化膜の最新技術について生体適合性と膜透過理論という二つの観点から検討し,今後の持続的および破壊的イノベーションにも触れたい。