2020 年 11 巻 1 号 p. 49-54
【背景】世界各地から報告される急性腎障害(AKI)の発生率と死亡率は非常に多様である。本研究はAKIの発生率と死亡率の関連を検討することを目的とした。【方法】2004〜2018年の期間で網羅的に文献を検索し,AKIの発生率と死亡率および死亡におけるAKIの寄与危険割合の関連を検討した。【結果】287コホートが対象となった。成人では,集団のAKI発生率が高くなるに従って,AKI群の死亡率は緩やかに上昇した(β=0.12,P=0.03)が,AKIの死亡における寄与危険割合は逆に低下した(β=−0.43,P<0.001)。成人ICUコホートのサブ解析では,AKI発生率が高くなるに従ってAKI群の死亡率が低下した(β=−0.25,P<0.001)。【結論】AKIの発生率が高い成人コホートでは,高い診断率や経験値の高いチームによる管理などによってAKI症例の予後が改善している可能性が示唆された。