2021 年 12 巻 1 号 p. 37-44
20世紀に血液透析治療が腎不全患者に行われるようになって以来,急性血液浄化療法はさまざまな重症疾患の治療に応用されている。ここでは,血液浄化の対象疾患となることの多い急性腎障害(acute kidney injury:AKI),敗血症,そして新型コロナウィルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)に焦点をあてて,近年改訂されたガイドラインの内容を紹介する。AKIに関しては,Kidney Disease Improving Global Outcomes(KDIGO)ガイドラインの改訂に向けた議論が行われ,患者との円滑なコミュニケーション,病状に合わせた腎代替療法の提供が勧められている。敗血症ガイドラインでは,本邦のガイドラインが改訂され,腎代替療法の導入タイミングについて大きく変更されている。COVID-19については,さまざまな団体から腎代替療法の治療条件,感染管理,回路凝固などの推奨が提示されている。