2021 年 12 巻 1 号 p. 45-51
敗血症の新しい定義では,臓器障害への進展が重要視されている。敗血症の病態には高サイトカイン血症による過剰な生体反応が大きくかかわっており,それを制御する治療法の一つとして,血液浄化法が施行されている。そのなかでも,サイトカイン吸着能を有する血液浄化膜を用いて行う血液浄化法は,その有用性が報告されている。しかし,各種ガイドラインで指摘されているように,高いエビデンスレベルを持った研究はいまだ少ない。サイトカインの1種であるInterleukin-6(IL-6)に着目した研究で,高サイトカイン血症と急性腎不全との関連,そして多臓器障害との関連性が明らかになってきた。敗血症の治療では,その病態生理からも,臓器障害へ至る前に早期の血液浄化法の導入が必要であると考えられる。IL-6血中濃度のような有用なバイオマーカーを測定し,サイトカインに基づいた治療を行うことで,この領域で質の高いエビデンスを創り出すことが望まれる。