2021 年 12 巻 1 号 p. 30-36
クリティカルケア領域にて施行される血液浄化療法の中心となるのは持続的腎代替療法(continuous renal replacement therapy:CRRT)で,CRRT施行時の精密性や安全性を担保するのがCRRT専用装置である。CRRT専用装置の改善は各ポンプ流量制御の精密化からはじまり,現在では,種々の安全装置も備わるものへと進化してきた。欧米の装置は前希釈CHFを施行できるが,他にも,革新的なエアードリップチャンバー形状や加温装置を備えている。一方,国産装置は前希釈CHFに対応できなかったが,現在ではTR-2020(東レ・メディカル)が上市されたことで,前希釈CHFが安全に施行できるようになった。今後,CRRT専用装置の進歩の余地は残されていないかもしれないが,災害などに対応できるよう消費電力を抑制できるモードの開発や小型化,運搬性の向上などの進歩は期待できる。省電力化,小型化,運搬性に優れた装置が開発できれば,CRRTの活躍フィールドはさらに広がるであろう。