2021 年 12 巻 1 号 p. 73-76
63歳女性,総胆管結石をERCPにより排石,ERBDが留置された。処置後,急性膵炎を発症,膵酵素阻害薬等にて改善せず,polymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion(PMX-DHP)療法を実施した。PMX-DHP開始前の尿L-FABP値は485.2μg/gCreと高値を呈し急性腎障害発症は必発と考えられCHDF(PMMA膜)を行った。尿L-FABPはPMX-DHP 1回目:485.2μg/gCre⇒364.7μg/gCre,2回目:177.7μg/gCre⇒5.4μg/gCreと低下,急性膵炎も改善,腎障害悪化を認めなかった。血清Creは正常だが尿L-FABPが高値であり,血清Cre上昇に至らない早期急性腎障害を念頭に腎代替療法を実施した。急性腎障害の早期診断に尿L-FABPの有用性が示唆された。