日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
ERCP後の急性膵炎に対するpolymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion(PMX-DHP)療法の治療経過を尿中L-type fatty acid binding protein(L-FABP)の推移から観察し得た1例
佐藤 英一出川 まなか小野 貴央魯 紅梅松村 大輔野村 まゆみ森山 憲明天羽 繭子井家 麻紀子加藤 慶三遠藤 慎治斉藤 和彦安部 慎太朗宗形 智子菅野 有三中村 司
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2021 年 12 巻 1 号 p. 73-76

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抄録

63歳女性,総胆管結石をERCPにより排石,ERBDが留置された。処置後,急性膵炎を発症,膵酵素阻害薬等にて改善せず,polymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion(PMX-DHP)療法を実施した。PMX-DHP開始前の尿L-FABP値は485.2μg/gCreと高値を呈し急性腎障害発症は必発と考えられCHDF(PMMA膜)を行った。尿L-FABPはPMX-DHP 1回目:485.2μg/gCre⇒364.7μg/gCre,2回目:177.7μg/gCre⇒5.4μg/gCreと低下,急性膵炎も改善,腎障害悪化を認めなかった。血清Creは正常だが尿L-FABPが高値であり,血清Cre上昇に至らない早期急性腎障害を念頭に腎代替療法を実施した。急性腎障害の早期診断に尿L-FABPの有用性が示唆された。

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© 2021, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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