2022 年 13 巻 1 号 p. 54-58
【はじめに】血液浄化装置で使用される静脈側エアートラップ(V)チャンバーは,血液浄化施行時の凝固の要因となる。今回,異なる形状のVチャンバーを用いて滞留時間を基礎実験にて評価した。【方法】コンソールはPrismaflex とACH-Σを使用した。模擬血液用原液1mLをVチャンバーに注入してから色素が消失するまでの時間を3回ずつ測定し,その平均値を比較した。また目視にてVチャンバー内での流体を評価した。【結果】Vチャンバー内での流体滞留時間はPrismaflex群が有意に短かった(Prismaflex群:17.5±0.7秒 vs ACH-Σ群:51.2±0.7秒,p<0.05)。また,流体の目視評価において,PrismaflexではVチャンバー内で旋回流として均一に流れ入るのに対し,ACH-Σでは底部のみが拍動性に不均一に流れ,液面上層部において滞留が確認できた。【結語】Vチャンバーの構造の違いがVチャンバー内での滞留に影響を与える可能性が示唆された。