2022 年 13 巻 1 号 p. 59-63
透析患者の高齢化やCOVID-19感染症対策は急務である。高齢者腹膜透析の最大の問題は介護者の負担と見守り体制の不備である。われわれはinformation and communication technology(ICT)を活用した連携体を構成している。この連携体は,遠隔モニタリングクラウドネットワークで,大学腹膜透析本部と五つ以上からなる訪問看護ステーション(訪看ST)を結んだものである。この見守り連携体を“サイバービレッジ”(Cybervillage:CV)と命名した。医師6名が患者治療状況を週1回特定のチェックシートに記入し,このチェックシートをクラウドを通してCV全体で共有する。チェックシートを基に,訪問STは訪問時にわれわれが定めた対応アルゴリズムに従い,処置,検査(出口部感染の培養など)や看護指導を行っている。さらに訪問状況報告シートをCV全体で共有している。上記情報は編集し,実践的な教育教材となる。以上のようなCVの創出・実践を通して高齢者在宅医療の問題点や解決策を提示し,今後の発展を目指す高齢者在宅医療モデルケースを提案したい。