日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
技術・工夫
小児における吸着型血液浄化器の長時間使用の有効性
メトトレキサートクリアランスの検討
大場 彦明宇城 敦司大塚 康義山本 泰史赤嶺 陽子芳賀 大樹菅 敏晃數田 高生松田 卓也坂口 高章
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2022 年 13 巻 1 号 p. 69-72

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抄録

High dose-methotrexate(HD-MTX)投与後,排泄遅延を認めた際には毒性の軽減を期待して血液透析(hemodialysis:HD)や活性炭吸着膜を用いた直接血液還流による血液吸着療法(direct hemoperfusion:DHP)などの血液浄化療法が行われる。時間を延長して同一のDHP浄化器を使用した報告はなくクリアランスを検討した報告も少ない。われわれは,クリアランスと有害事象を確認しつつ最長24時間まで血液吸着を実施し,合併症をきたすことなく回復したMTX中毒の急性リンパ性白血病の小児症例を経験した。血液流量(Qb)60mL/minでDHPを行い,16時間継続した時点で除去効率,クリアランスがそれぞれ0.85,48.9mL/minと維持され,良好な除去率が得られた。成人に比して小さなQbで十分な血液浄化を可能な小児例では長時間DHPが実施できる可能性があるため,症例の積み重ねや実験での確認が望まれる。

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© 2022, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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