2024 年 15 巻 1 号 p. 59-62
Acute infectious purpura fulminans(AIPF)はさまざまな感染症により発症する死亡率の高い疾患で,急速に病態が進行するため早期から全身管理を中心とした治療介入が必要である。本邦でも報告の少ない,toxic shock syndrome(TSS)を契機にAIPFを発症したが血液浄化療法を含む集学的治療により良好な転帰を得られた症例を経験した。患者は40歳台,女性で,発熱・下腹部痛を主訴に近医を受診し,尿路性器感染症に伴う敗血症性ショックと診断され,集中治療管理目的に当院へ搬送となった。問診および各種検査・身体所見から月経関連TSSを疑い各種治療を開始した。入院時より全身性に紫斑を認めたことからAIPFを想起しpolymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion(PMX-DHP)およびcytokine adsorbing hemofilter(CAH)を用いたcontinuous blood purification therapy(CBP)を施行した。PMX-DHP施行後よりショックからの離脱を認めた。TSSもAIPFの要因となることを考慮し,持続的かつ速やかな血液浄化療法による炎症制御は治療選択肢の一つとして有用であると考える。