2024 年 15 巻 2 号 p. 122-127
透析室における一般的な血液浄化療法については,全国的な調査によりインシデントの内訳が示され,これに基づく安全マニュアルが策定されている。一方,重症患者に対する急性血液浄化療法については,インシデントの内訳に関する報告は少なく安全対策は十分とはいえない。当院では急性血液浄化関連のインシデント解析を行い,これに基づく安全対策を実施してきた。その結果,労働環境の変化によりインシデントの増加が懸念されていたにもかかわらず,過去5年間の急性血液浄化に関連するレベル3a以上のインシデントは減少していた。すなわち,急性血液浄化療法においては,業務の固定化,可視化,簡略化,および多職種連携を行うことでインシデントを抑えることができる。