日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
症例報告
血栓性血小板減少性紫斑病が疑われ全血漿交換療法を施行した
発作性夜間血色素尿症の一例
持田 泰寛守矢 英和村岡 賢御供 彩夏丸山 遙山野 水紀石岡 邦啓岡 真知子真栄里 恭子大竹 剛靖日髙 寿美小林 修三
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2024 年 15 巻 2 号 p. 147-152

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抄録

破砕赤血球を伴う溶血性貧血の代表的な疾患に血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)があがるが,軽微ながらも破砕赤血球を認めた発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:PNH)を診断し,TTPとの鑑別に苦慮した症例を経験したため報告する。症例は60歳台,女性で,倦怠感を認め受診した。COVID-19抗原が陽性で,破砕赤血球を伴う溶血性貧血,腎機能障害,血小板減少を認めた。血栓性微小血管症を呈しており,TTPが強く疑われた。全血漿交換療法によりLDHは減少するも血小板数の改善に乏しく,CD55/CD59の赤血球表面マーカーに加えPNHタイプ赤血球の定量検査を施行した。上記表面マーカーの欠損を認めたためPNHと診断した。PNHでは通常赤血球膜形態は正常であるが,時に破砕赤血球を伴うこともあり鑑別を要する。

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© 2024, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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