ICU入室が必要となる患者の敗血症性腎障害は死亡率に大きく影響を及ぼすことがわかっている。つまり,敗血症患者の腎保護管理は全身状態を改善する可能性がある。当科の治療戦略の特徴は生理学的,薬理学的アプローチによる腎保護管理である。抗菌薬選定や輸液管理にとどまらず,循環作動薬,利尿薬や血液浄化療法を含めた治療を生理学的な根拠をもとに治療する。この戦略の根底にあるものは尿流維持と,メディエータの制御が重要であると考えている。血中から原尿中にサイトカインなどが濾過されると尿細管上皮障害から尿細管閉塞を生じやすく,GFR低下を招くこととなるので,尿流を維持することは腎保護となる。自施設では,水分バランス管理においても安易に血液浄化による除水に頼るのではなく,できる限り自尿を維持した管理を行っている。血液浄化療法は,施行条件を病勢に応じて使い分け,血中と尿中のメディエータ制御を意識した管理を行っている。