2025 年 16 巻 1 号 p. 24-28
【目的】AN69ST hemofilterは,陰性荷電のため抗凝固薬のnafamostat mesilate(NM)を吸着除去するが,NM吸着能の経時的な変化の報告はない。NM吸着能の低下は,出血リスクが増加する可能性があるため,NM吸着能の経時的変化を検討する。【方法】sepXiris®150と多用途血液処理装置のPrismaflexを用いて持続的腎代替療法を施行した症例のうち,脱血側回路のみからNMを投与し,脱血側と返血側回路の両方から活性化凝固時間(activated coagulation time:ACT)を測定した74症例,295データを対象とした。CKRT開始からACT測定をした経過時間を6区分に分けて,その時の返血側ACT値を比較した。【結果】返血側ACT値は,中央値と四分位範囲でそれぞれ12時間:162秒(IQR 145, 185),12~24時間:201秒(IQR 178, 227),24~36時間:229秒(IQR 190, 263),36~48時間:246秒(IQR 224, 274),48~60時間:248秒(IQR 229, 302),60時間以上:249秒(IQR 228, 267)であり,開始時と比較して有意な延長を認めた(P<0.01)。【結論】AN69ST hemofilterのNM吸着能は経時的に低下する可能性が示唆された。