2011 年 2 巻 1 号 p. 92-96
エンドトキシン血症診断に用いられるendotoxin activity assay(EAA)は好中球の反応応答性を利用し,acute kidney injury(AKI)バイオマーカーneutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL)は,腎尿細管上皮細胞のみならず好中球からも放出される。AKIにおいては好中球の活性化が少なからず生じており,これらの新たな診断マーカーがAKIにおけるエンドトキシンショックを検出しうるか検証した。36名の持続血液濾過透析を必要としたAKI症例において,EA値および血漿NGALを測定した。EA値と腎機能低下の程度に相関は認めなかった。グラム陰性桿菌感染症によりエンドトキシンショックを呈した9症例におけるEA値と血漿NGALは有意に高く,EA値と血漿NGALを組み合わせることで,エンドトキシンショック症例を非エンドトキシンショック症例と高い精度で区別することが可能であった。