2011 年 2 巻 2 号 p. 194-197
循環血液量の少ない新生児や乳児等に体外循環を用いた血液浄化療法を施行する場合,希釈率等の理由から一般的に血液製剤を充填している。この準備段階で,どの程度の血液製剤を使用するか,そして血液製剤使用に伴う低pHと高K等の補正にどの程度事前透析すべきか苦慮することがある。今回,血液製剤充填後に事前透析として体外循環回路のみを再循環させながら事前透析させ,血液製剤充填量に対するHb値,Alb値,事前透析量に対する電解質値,そして,体外循環施行開始前後のHb値とAlb値を予測する自動計算表をMicrosoft Excelにて試作した。この自動計算表を基に無尿のためCHDFを施行した体重約3kgの患児に対して10回の測定を行い比較した。濃厚赤血球製剤のHb値やK値は固定した推定値とし,回路内液は濃度を均一と仮定し算出したが,差を生じること無く使用することができた。このため,より安全な血液浄化療法を施行する上で,自動計算表は有用であると示唆された。