2012 年 3 巻 1 号 p. 14-19
持続緩徐式血液浄化器に内蔵されている中空糸膜の素材として,東レはPMMA膜からなる「ヘモフィールCH」,ポリスルホン(PS)膜からなる「ヘモフィールSHG」を販売している。PMMA膜は均一対称構造であり,サイトカインなどのタンパク質を吸着するというPS膜にはない,ユニークな特徴を有している。PMMA膜の構造はサイトカインの吸着性を向上させるために,最適設計されており,in vitroの循環試験において24時間でも飽和吸着しないことが確認できた。PS膜は,血液成分の付着を抑制するために,親水性高分子であるポリビニルピロリドン(PVP)がブレンドされている。われわれは,PVPの面内分布の均一性および親水性高分子の運動性が,血小板の付着に大きく関与していることを明らかにし,従来品に比べて血小板付着を飛躍的に低減した「ヘモフィールSHG」の開発に成功した。