日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
東レ持続緩徐式血液浄化器の特徴
上野 良之高橋 博菅谷 博之
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2012 年 3 巻 1 号 p. 14-19

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抄録

持続緩徐式血液浄化器に内蔵されている中空糸膜の素材として,東レはPMMA膜からなる「ヘモフィールCH」,ポリスルホン(PS)膜からなる「ヘモフィールSHG」を販売している。PMMA膜は均一対称構造であり,サイトカインなどのタンパク質を吸着するというPS膜にはない,ユニークな特徴を有している。PMMA膜の構造はサイトカインの吸着性を向上させるために,最適設計されており,in vitroの循環試験において24時間でも飽和吸着しないことが確認できた。PS膜は,血液成分の付着を抑制するために,親水性高分子であるポリビニルピロリドン(PVP)がブレンドされている。われわれは,PVPの面内分布の均一性および親水性高分子の運動性が,血小板の付着に大きく関与していることを明らかにし,従来品に比べて血小板付着を飛躍的に低減した「ヘモフィールSHG」の開発に成功した。

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© 2012, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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