日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
急性血液浄化導入における新規AKIバイオマーカーの有用性の検討
土井 研人片桐 大輔根岸 康介藤田 敏郎松原 全宏中村 謙介石井 健矢作 直樹野入 英世
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2012 年 3 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

急性血液浄化導入においては,腎機能に加え合併する多臓器不全の状況などを考慮して,個々の症例に応じた臨床的な判断が行われている。本研究では急性血液浄化開始の判断における新規AKIバイオマーカーの可能性を検討することを目的とした。東京大学医学部附属病院ICUにおいて,急性血液浄化を施行した26症例を対象とし,ICU入室時の尿バイオマーカーを後向きに検討した。ICU入室同日にCHDFを開始した早期開始群(n=12)では,翌日以降に開始した後期開始群(n=14)と比較して,尿L-FABP,NGAL,NAG,アルブミンが有意に上昇していた。さらに,尿L-FABP,NAG,アルブミン測定により,より高い精度で早期開始群と後期開始群の切り分けが可能となることが明らかとなった。したがって,急性血液浄化導入にあたって,尿AKIバイオマーカーが新たな指標として有用である可能性が示された。

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© 2012, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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