2012 年 3 巻 1 号 p. 34-39
小児および未熟児・新生児領域における集中治療において,敗血症性ショックに対する治療のひとつであるエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)は,いまだ普及するに至っていない。今回われわれは,PMX-DHPを施行した敗血症性ショックの児9症例について検討した。年齢は日齢0~生後7ヵ月(修正3ヵ月),体重は1.2~6.6kg,男児7例,女児2例,予測死亡率は90.4±22.9%であった。施行中に低体温,回路内凝固,血小板減少を認めたが,これによる死亡は認めなかった。治療開始後2時間で有意に血圧が上昇し,48時間後にPediatric Logistic Organ Dysfunction(PELOD)scoreが有意に低下した。28日目の転帰は死亡3例であった。低体重児においてもPMX-DHPを安全に無理なく施行することができた。予後不良と予測される症例であっても,PMX-DHPが敗血症性ショックの救命率を向上させることが示唆された。