日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
原著
エンドトキシン吸着療法を施行した低体重児9例の検討
澤田 真理子渡部 晋一荻野 佳代田中 紀子林 知宏久保田 真通高橋 章仁藤原 充弘脇 研自桑門 克治齋藤 真澄新垣 義夫
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 3 巻 1 号 p. 34-39

詳細
抄録

小児および未熟児・新生児領域における集中治療において,敗血症性ショックに対する治療のひとつであるエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)は,いまだ普及するに至っていない。今回われわれは,PMX-DHPを施行した敗血症性ショックの児9症例について検討した。年齢は日齢0~生後7ヵ月(修正3ヵ月),体重は1.2~6.6kg,男児7例,女児2例,予測死亡率は90.4±22.9%であった。施行中に低体温,回路内凝固,血小板減少を認めたが,これによる死亡は認めなかった。治療開始後2時間で有意に血圧が上昇し,48時間後にPediatric Logistic Organ Dysfunction(PELOD)scoreが有意に低下した。28日目の転帰は死亡3例であった。低体重児においてもPMX-DHPを安全に無理なく施行することができた。予後不良と予測される症例であっても,PMX-DHPが敗血症性ショックの救命率を向上させることが示唆された。

著者関連情報
© 2012, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top