2012 年 3 巻 1 号 p. 29-33
救急・集中治療領域において持続的血液濾過透析(Continuous hemodiafiltration:CHDF)は中心的な急性血液浄化療法である。われわれはCHDFを施行する際に,抗凝固剤としてナファモスタットメシル酸塩(Nafamostat mesilate:NM)を使用するが,凝固・非凝固症例さまざまである。またNMを使用したCHDFを施行する際の,活性化凝固時間(Activated clotting time:ACT)を含めた調節方法の再検討に関する報告が少ないのが現状である。今回われわれは,脱血側および返血側のACTを同時に測定し,施行中全く凝固しなかった症例を基に,至適ACTについて検討した。脱血側,返血側のACTは,24時間で交換した群170秒,444秒,48時間で交換した群176秒,470秒,72時間以上施行した群190秒,443秒であり,返血側では差はみられなかったが,72時間以上施行した群の脱血側で有意に延長していた。なお全症例において出血の合併症はみられなかったことから,24時間以上施行する場合は,脱血側ACTを170秒前後にコントロールすることが,1つの指標になると考えられた。