2012 年 3 巻 1 号 p. 63-68
【目的】RIFLE分類とacute kidney injury network(AKIN)分類の有用性を比較すること。【対象と方法】過去3年間に当ICUに48時間以上在室した442症例を対象とし,両分類でのAPACHE Ⅱ scoreやICU生存率などを比較検討した。【結果】両分類でのAPACHE Ⅱ score,ICU生存率は腎傷害の程度に応じて段階的に推移し,両分類間に差はみられなかった。RIFLE分類で腎傷害を認めず,血清Cre>0.3mg/dLの増加によりAKIN分類で1群と分類された症例は6例あった。腎補助療法が行われ,かつRIFLE分類でFailure以外に分類されながらAKIN分類で3群に分類された症例は計86例あった。このためAKIN分類では3群の割合が突出した。【結論】腎補助療法の開始基準が統一されていない現段階では,AKIN分類に比べRIFLE分類の方が急性腎傷害の分類としてより相応しいと考えられた。