2012 年 3 巻 2 号 p. 141-144
持続的血液浄化療法(CBP)における回路内凝固が検査データから危険因子を予測できるか検討を行った。対象は2009年11月~2011年8月までに当院でCBPを施行した96例中,ER-ICUで7日間以上継続し,24時間以内に回路凝固を認めた15例である。その15例の全治療日数は合計285日で治療期間中における連日の検査データを多変量解析し,回路内凝固に影響を及ぼす危険因子を同定した。緊急回路交換を要する危険因子としては,Hct 25%以下(HR:3.189,95%CI:1.606~6.335,P=0.0009),Fbg 350mg/dL以上(HR:4.266,95%CI:1.082~16.826,P=0.0382),FDP 30μg/dL以上(HR:3.077,95%CI:1.275~7.425,P=0.011)の3項目であった。回路内凝固の危険因子は,過凝固状態を示すFbg,FDP値の上昇とHct低値であった。Hct 25%以下,Fbg 350mg/dL以上,FDP 30μg/dL以上の症例では,回路内凝固の予測が可能であり,抗凝固剤の検討や回路交換時期の配慮が必要である。