2012 年 3 巻 2 号 p. 135-140
造血幹細胞移植後早期の症例に血液浄化が必要となった場合,感染予防の観点からクリーンルーム(CleanRoom:以下CR)で行うことがある。本研究では,CRに血液浄化装置を搬入する際の環境検査を行った。血液浄化装置を対象とし,2種の除菌洗浄剤にて対象部位を洗浄した後,清浄度検査としてアデノシン三リン酸(adenosine triphosphate:以下ATP)およびアデノシン一リン酸(adenosine monophosphate:以下AMP)拭き取り検査を実施し相対発光量(Relative Light Unit:以下RLU)を測定した。管理基準値として,患者用テーブルなど凹凸のない平面部に汎用されている200~500RLUを適用した。洗浄直後では管理基準値外の検体もあったが,洗浄15時間後では採取場所や薬剤に関わらず測定部位の相対発光量は管理基準値内および基準値以下に低下していた。CRなどの特殊な環境下に血液浄化装置を搬入する場合は,治療前に洗浄することで清浄度を適切に管理でき感染の発生リスクを軽減できると考えられる。