2014 年 5 巻 1 号 p. 51-56
CBP施行中の静脈側アクセス部からの回路離断は生命に関わる重大な医療事故である。そこで,回路離断を検知するための静脈圧下限警報について検証を行った。実験はCBP施行中の静脈圧と回路離断時の静脈圧を模擬した,バイパスモデルと回路離断モデルを作成した。さらに,各モデルにて血液流量やHct値の施行条件を変化させた際の回路離断時の静脈圧および,バイパスモデルと回路離断モデルにおける静脈圧の差圧から適切な静脈圧下限警報を検討した。また,回路内凝固による圧力上昇時における静脈圧の変動もあわせて検討した。各モデルにおいて血液流量やHct値,回路内凝固によって静脈圧も変化した。また,差圧の変動は血液流量の変化が最も大きく関与し,血液流量が上昇するにつれて大きくなった。そのため,差圧の最小値が実験におけるすべての条件下において回路離断時の静脈圧を下回らない静脈圧下限警報域となることが明らかとなった。実際の設定は「静脈圧-37mmHg未満」で回路離断を検知することができると考えられた。