メシル酸ナファモスタット(NM)では複数の後発医薬品(後発品)が発売されているが,NMの先発医薬品(先発品)と後発品の抗凝固作用を比較した研究は少ない。今回,心臓血管手術の翌日から持続的血液濾過透析(CHDF)を開始した維持透析患者43例を対象とし,抗凝固薬にフサン®を使用したF群(22例)とコアヒビター®を使用したC群(21例)について,CHDF回路寿命(CHDF 開始から初回交換および中断までの時間),CHDF開始前の血算,生化学,凝固系,活性化凝固時間(ACT)について,後ろ向きに比較した。CHDF回路の寿命はF群,C群それぞれ1,390±433分(23時間10分),1,225±434分(20時間25分)であり,C群で短い傾向にあったが有意差はなく(p=0.219),その他の項目も差がなかった。したがって,今回用いた後発品では,透析患者の心臓血管手術後のCHDFにおいて,回路寿命に影響しなかった。今後は,より出血リスクの高い患者を対象として,他社の後発品の抗凝固作用に関し,さらなる検討が必要と思われる。
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