2016 年 7 巻 1 号 p. 68-71
【背景】劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome:STSS)は,急速にショック・多臓器不全を呈する致死率の高い感染症であるが,その病態はStreptococcal pyrogenic exotoxin による高サイトカイン血症である。【症例】71歳,男性。発熱,上腹部痛を認め,急性汎発性腹膜炎疑いで緊急開腹手術を行った。上腹部を中心に膿性腹水を認めたが消化管穿孔はなく,洗浄ドレナージ術を行った。術後,敗血症性ショックに対してPMX-DHPとCRRT(AN69ST膜)を直列回路で施行すると,循環動態は速やかに改善した。血液と腹水培養からStreptococcus pyogenes(GAS)が検出され,GASよる原発性腹膜炎と診断した。【結論】STSSに対して,サイトカイン吸着能を有するAN69ST膜を使用したCRRTとPMX-DHPが有効であると考えられたが,今後さらなる研究が必要である。