2017 年 8 巻 1 号 p. 100-103
症例は43歳の男性。2週間前からの腹部膨満感を主訴に受診。発熱,CRP高値,血小板減少,胸腹水,多発リンパ節腫脹を認め入院。腋窩リンパ節生検ではCastleman病の所見だったが,他の臨床的特徴から第10病日にTAFRO症候群と診断しステロイド,トシリズマブで治療を開始。しかし腹水が減少せず腹部膨満の苦痛が強い上,腎前性急性腎不全となり,連日のアルブミン製剤使用でも循環管理できず,第11病日より腹水濾過濃縮再静注法(CART),第19病日よりHDFを開始。週2回HDFと週1回腹水濾過還元血液濾過透析(AFR-HDF)により腹水コントロールが可能となり,アルブミン製剤の使用量も減少。種々の免疫抑制療法により徐々に寛解傾向となり第75病日にHDF離脱,その後CARTも不要となり第152病日に退院。TAFRO症候群の治療法はまだ確立されていない。難治性腹水と急性腎不全を合併する場合に,AFR-HDFは全身管理の手段として有効な選択肢と考えられる。