2017 年 8 巻 1 号 p. 96-99
症例は70歳代女性。入院7ヵ月前より持続性咳嗽を主訴に近医受診し,間質性肺炎と診断された。全身倦怠感と食思不振を主訴に近医入院。Cr 4.2mg/dLと急性腎障害を認め転院となった。入院時,炎症反応高値(CRP 12.3mg/dL),腎障害(Cr 4.34mg/dL),myeloperoxidase (MPO)-anti-neutrophil cytoplasmic antibody (ANCA)≥300U/mL,proteinase3(PR3)-ANCA 9.7U/mLを認め,ANCA陽性急速進行性糸球体腎炎と診断し,第3病日よりステロイドパルス療法を開始。第4病日より喀血を伴う肺胞出血を認め,人工呼吸器管理となった。第5病日より6回の血漿交換療法を施行し,第18病日に人工呼吸器を離脱した。第26病日と第57病日に静注cyclophosphamideを追加し,MPO-ANCAの低下,腎機能の改善を認め,第85病日に退院となった。本症例はANCA関連血管炎による重症の肺腎症候群を呈したが,治療が奏効し救命と腎死の回避に成功した。