2017 年 8 巻 2 号 p. 118-121
本邦における特発性肺線維症 (idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)の疫学研究(北海道study)では,IPF診断確定後の平均生存値は35ヵ月と予後は極めて不良であり,死因のなかでは急性増悪が40%と最も頻度が高いことが報告された。IPF急性増悪に対する有効な治療法は確立していないが,近年,ポリミキシンB固定化線維カラムを用いた直接血液灌流療法(Direct hemoperfusion with polymyxin B-immobilized fiber column:PMX-DHP)による酸素化や予後に関する有効性が報告されている。現在,IPF急性増悪に対するPMX-DHPは先進医療として承認を受けており,その安全性および有効性に関して探索的な臨床研究が行われている。これらの結果より,有効な治療法が確立していないIPF急性増悪に対してPMX-DHPは治療法の一つとして考慮すべきである。