日本急性血液浄化学会雑誌
Online ISSN : 2434-219X
Print ISSN : 2185-1085
総説
エンドトキシン吸着療法のエビデンスと最新の知見
山下 千鶴西田 修原 嘉孝栗山 直英中村 智之柴田 純平幸村 英文森山 和広
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2017 年 8 巻 2 号 p. 113-117

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抄録

敗血症に対する治療は感染巣に対する根治療法のみならず,炎症の増幅・転移の制御のための支持療法も重要である。現在,敗血症に対するエンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)の有効性に関して,無作為化比較試験や傾向スコア分析の結果は一定の傾向を示さず,十分なエビデンスは得られていない。しかし,重症患者では生命予後を改善する可能性が示唆される。エンドトキシン吸着カラムはメディエータカスケードの上流に位置するエンドトキシンを吸着する他に,内因性カンナビノイドおよび活性化好中球・単球の吸着や,単球の表面抗原の変化,尿細管細胞におけるアポトーシスの抑制など,さまざまな作用機序を持つ。また,PMX-DHPは2時間以降もエンドトキシン吸着能,循環動態および肺酸素化能改善効果が持続することが報告されている。対象患者や施行時間などを適切に設定することで,PMX-DHPは重症の敗血症患者の生命予後改善効果を示しえると考える。

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© 2017, 特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
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